うたの日サルベージ:また冬は来るのだろうかマフラーに喉のへこみが残ったままだ(山口正剛)
※「うたの日」に書いた選評をサルベージしてみます。ブラウザにベタ書きしていたので。初出になかった改行を加えたり、誤字を訂正したりはしています。
また冬は来るのだろうかマフラーに喉のへこみが残ったままだ
/山口正剛
「また冬は来るのだろうか」という問いかけも、「(前の冬に使っていた)マフラーに喉のへこみが残ったまま」という事実の確認も、作中主体にとって固有の時間の流れ方を感じさせる。そこに、外側の世界とのどうしようもない距離があるように思う。固有の時間の流れ方は、とても個人的・個別的なことだけれど、というか、だからこそ、同時に、普遍的なものだと感じる。