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Hagex『ネット釣り師』は半分詐欺だ!(だから買え)

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これから書くことは、釣りのように見えるかもしれませんが、私にとってはのっぴきならない問題になっておりますので、いい解決方法がありましたら、アドバイスお願いします。

私は現在40代の女性ですが、独身です。

見た目はわりと良い方なので、若い頃から、お付き合いする相手には困ることがありませんでした。

結婚も30代後半ぐらいで、なんとなく決まってしまうのかな、と考えておりました。

ですが、仕事に熱中しているあいだに、30代に突入したころには年収も1000万円を超えるようになりました。

そのころから、「結婚するならば、私の仕事を邪魔することなく、可能なかぎり育児や家事を負担してくれる相手がいいな」と考えるようになりました。

問題は、出会う男性が、「私の年収に注目して近づいているようだ」と思えること、なおかつ「かといって育児や家事を積極的にやろうという意志があるように見えない」ということです。

これっておかしくありませんか?

もし、私よりもはるかに年収が高いのであれば、「養ってあげるから、家庭に入って欲しい」というのも理解できます(それでも、そういう男性と結婚するのは嫌ですが)。

ですが、30代に入ってから出会ったすべての男性が、私と同程度の年収しか稼いでいないのです。

私も年齢を重ねるにしたがって、年収も上がっていますので、「私と同程度の年収」を稼いでいて、なおかつ独身という男性と出会う確率も減ってきました。

私に近づく男性は、私を、自分の稼ぎがなくなったときのための「保険」としてしか見ていないようなのです。

なかには、あからさまに「稼いでくれないと困る」とひどいことをいう人もいました。

私もいわゆる「プレ更年期」に入り、精神的に少し疲れた時期もあったのです。

そのような時期に、「疲れた。仕事やめようかな」とこぼすこともあったのですが、そんな私を優しく包んでくれるような相手でなければ、安心して結婚などできません。

「もう、結婚はあきらめようかな」と考える日が、しばらく続きました。

そんなある日、面白いブログ記事を見かけました。

【明日発売】ネットの釣りテクニックについて解説した本を書きました【買え】

Hagexさんという方が『ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い』という本を出版した、という記事です。

この記事を書いているid:hagexさんによれば、

釣りの本質は「いかに人の心を揺さぶるか?」です。

この本では「釣り師はこんなテクニックを使って、人を騙す」というテクニックをいろいろと書いています。釣り師志望の方にも役に立ちますが、これって、「インターネットで注目を集める、バズる文章」の技術と同じなんですよね。この事実に本を書き終わって気がつきました。もっと早くわかっていれば、帯の文章にいろいろと書けたのに!

とのこと。

この宣伝文句は魅力的に感じられました。

この本を読めば、私にも、人から注目される文章を、ネットで発表できるかもしれない!

そう考え、とてもワクワクして本屋さんに行きました。

「結婚のことなどで悩んでいる暇もないくらい、たくさんの人に注目される有名ブロガーの仲間入りができるかもしれない!」

と、私はHagexさんの本が私の悩みをすべて解決してくれるのではないかと期待してしまったのです。

結論から言いますと、期待は裏切られました。

半分、詐欺にあったような気分です。

なぜ「半分」かというと、そもそもこの本は「バズる文章を書くためのテクニック」を紹介するのが目的ではなく、「バズる可能性がある釣りの文章が釣りであることを見抜くためのテクニック」を紹介することを目的として書かれたものです。

その意味では、嘘は書いていないのです。

ですが、タイトルにも「人々をとりこにする手口」とあるように、この本の中には「こういう話題をこういう書き方で提示すれば、人をとりこにできる」というノウハウが書いてあると期待してしまうのも、間違ってはいないのではないでしょうか?

私が間違っているのでしょうか?

具体的に、どのへんに「詐欺」っぽさを感じたのかを、書いてみます。

これを読んでも「爆釣り」の文章が書けるような気がしない

これが中心的な問題ですね。

本書には「よくある(対立)トピック」が表になって掲載されています。

「男女対立」とか「喫煙・非喫煙者」とか「学歴」とか「DQNネーム」とかですね。

「多くの人が何か一言言いたくなる」話題を、「対立」を煽るように書けば「釣れる」というわけです。

それは理解できるのですが、私はなにも、わざわざ対立を煽って注目されたいわけではないのです。

私は慶応大学大学院の博士課程を出ていますが、学歴の問題にあまり関心はありません。

私がやりたいのは、多くの人に文章を読んでもらって、ためになったとか、役に立ったとか、面白かったと思ってもらうことです(そしてそういう反応が欲しいのです)。あるいは真面目に反論してくれるとか。

はてなブックマークのホットエントリに、私が過去に書いたことがあるブログ記事とほとんど同じ内容の記事が入ることがあります。

たぶん元ネタにした(その記事を書くために勉強した)ソースが同じだったというだけなのでしょうが、私のブログ記事には1ブックマークもつかないのに、どうしてその記事はホットエントリなのでしょう。

そこにはなにか、タイトルのつけかたとか、フックとなる言葉使いとか、「何か違う」要素があるのだろう、と考えていました。

そして、この本に、その「違い」が書いてあるものだとばかり期待してしまったのです。

この本では「釣り」の見分け方を「マクロ視点」と「ミクロ視点」とに分けて解説していますが、「バズる言葉使い」というニーズは「ミクロ」に分類されるのでしょう。

ですが、この本の「ミクロ視点」にあるのは、「表記ゆれ」とか「常用漢字以外を使っているか」とか「誤字脱字」とかをヒントに、釣り師のIDを見破るテクニックなどでした。

釣り師といえども、IMEの変換を信用するので、別の書き込みをするさいにも「表記ゆれ」が生じないという痕跡を残すという理屈でしょう。

また釣り師は文章がうまいので、常用漢字以外の漢字使用は避ける傾向にあるとのこと。

小見出しをこういう風に書けば、人の心をゆさぶる」という書き方はされていませんでした。

誤字脱字が釣りのように見える

この本には、誤字脱字がとても多く含まれています。

いわゆる「名著」とよばれる本の中にも、誤字脱字が異様に多い本はありますので、意味がわかりさえすれば、それじたいは気になりません。

ですが、この本には、「釣り師は文章がうまく、用意周到である」「だから誤字脱字が少ないはずだ(素人の文章には誤字脱字が多い)」「しかしその裏をかく釣り師もいる」(大意)ということが書かれています。

こういうことを読んでしまうと、この本を読んでいて誤字脱字を発見すると、「これはわざとなのか? 突っ込んだら釣られたということなのか?」などと考えてしまいます。

そういうところでつまづいてしまうので、読んでいてストレスになりました。

たとえば93ページには「用字用語」(ようじようご)という単語が3回出てきますが、「用事用語」という誤字があります。

これが「用字用語を統一する」という解説の中で出てくるので、「これは『こういうのが統一されていないということなんですよ』というメッセージなのだろうか?」「ツッコミを待っていて、ツッコんだとたんに『はい釣りでした』ということなのだろうか?」「誤字脱字を作って『用意周到に書いたのではなく誠実に書いたのですよ』という見せかけを作りつつ、実はその裏が真実なのだ、と言いたいのだろうか?」などなど、考えこんでしまって、混乱しております。

また、97ページには「誤字の例」のリストがあって、そのうちのひとつが

  • ×「負けず嫌い」→○「負け嫌ぎらい」

なのだそうですが、「負け嫌ぎらい」ってなんて読むんですか?

もしかして、「負けず嫌い」は「負け嫌い」の誤用だ、ということが言いたいのでしょうか?

そういえば、表には掲載されていませんでしたが、この手の「正しい日本語ファシズム」みたいなのも、「爆釣りトピック」のひとつですよね?

「負けず嫌い」の語源は確かに「負け嫌い」ですが、いまではどちらも正式な用法として辞書にも掲載されていますよね?!

これは釣りなんでしょうか?! どうなんでしょうか?!

無意識に釣ってしまうようになる

これは上に書いた、「爆釣り文章が書けるようにならない」と矛盾するような点ですが、私は今日、「プチ釣り」のようなことを無意識的にやってしまいました。

経緯はこうです。

いま、目下の話題といえば何でしょう? STAP細胞

いいえ、違います。そんなことよりも、もっと多くの人にとって関係があり、深刻な、重大な問題があります。

そう、OpenSSL脆弱性の問題です。

はてな界隈には「情強」の皆さんがそろっているので、「ああ、話題になっているねえ」とピンとくると思うのですが、少なくとも私のFacebookのタイムラインがこの話題でもちきり、ということはありません。

これほど大規模に影響を与える問題なのに、なんで話題にしないのでしょうか?

私は、「OpenSSL」という単語を見た時点で「自分とは関係ない」と思ってしまう人が多いからだろうと推察しています。

周囲の人達への注意喚起のために、最近話題のWebサービス「note」に「これだけ多くのサイトでパスワードとかが漏れていた可能性がありますよ」というテキスト記事を投稿しました。

内容は「Mashable」の記事を丸写ししただけですが。

タイトルは「OpenSSL脆弱性の影響を受けるサイト一覧(随時更新中)」というものです。ここには「釣り」の要素はひとつもありませんね?

そしてこれをTweetしました。「note書いた」とだけ記入して。ここにも釣り要素はありませんね?

そもそもTwitterのフォロワーさんは、Heartbleed脆弱性など、知り尽くしているだろうから、あまり私ごときが注意喚起を付け加える必要性はないのです。

注意喚起すべきなのは、Facebookのフレンドなので(FacebookはHearbleed脆弱性にさらされていたサイトのひとつなので、当然みなさん知らなくてはならない情報です)、Facebookにもポストしました。

そのとき、

OpenSSL脆弱性について、技術的な話はナシにしてまとめました。

Facebookは「漏れていた」ことが確定しているので、みなさん対策してくださいね。

と記入してポストしました。これはあとで考えると「やや釣り」ですね。FacebookがHeartbleed脆弱性にさらされていたのは事実で、ユーザは必ず対処しなければならないのは当然ですが、「漏れていた」という断言からは、「あなたのパスワードが攻撃者の手に渡ったのは確実ですよ」という(意図しない)強いメッセージとして読まれてしまう危険性があります。

ですが、「漏れたのは確実だ」という想定で(安全側に倒し)対処することは良いことなので、そのままポストしています(ポストの時点ではこれが「やや釣り」だということに気づいていませんでしたが)。

この記事を書いている時点で、Facebookのこのポストに「イイネ」はひとつもついていません。

せっかく注意喚起したのに、だれも関心を持たなかったのでしょう。

予想外なのはここからです。

先のnoteへポストした報告Tweetは1RTも1Favもありませんでした。

ところが、FacebookTwitterの連携設定のせいで、Facebookへの投稿がTwitterにも流れてしまったのです。

この「流れることが念頭になかったポスト」が、これを書いている時点で、188RT・100Favされています。

(あ、この文章は、40歳独身女性の設定で書いていますが、中の人はおっさんです)

これが「プチ釣り」です。

はじめは「あれ? なんでこれそんなにRTされてんだろ?」と疑問に思ったものですが(繰り返しますが、noteに投稿した事じたいは、すでに別個にTweetしているのです)、よくよく考えてみると、

Facebookは「漏れていた」ことが確定しているので、みなさん対策してくださいね。

というのは、読みようによっては「デマ」です。

「パスワードなどが攻撃者の手に渡った」ことまでは「確定」していません。

ポストした時点では、「Heartbleedへのアタックが可能だったという意味で、漏れていた」ぐらいの気持ちで書いたのですが、うーん、「あなたのパスワード、外部に知られましたよ」というメッセージとして読めなくもないですね。

恐ろしい!

私は、この本を読んだせいで、無意識的に「釣り」の文章を書いてしまったのです!

私がしたいのは釣りではありません!

役に立ったとか面白かったとかイイネとか、あるいは真面目に反論してくれるとか、そういう反応が欲しいだけなのです!

Hagexさんは私を洗脳しているのです!

そもそも「釣り師」とはあなたの妄想の存在なのではないでしょうか

あるいは、「釣り師ウォッチャー」とか「釣り師判定」など、そんな市場はあまりにもニッチではないですか?

「釣り」にそんなに関心がある人など、いるのでしょうか?

と思ったら、いた!

角川本社ビルでHagexさんのインタビューを受けてきました

うーん。

「市場が存在しないのに、あたかも『心をつかむ文章の書き方ノウハウ』の本と見せかけて売る、不届き者の商売」だと批判したくなってきた終盤、トピシュさんの対談が出てきて(第7章)、私は「やりこめられた」気分になりました。

私への誹謗中傷のレスはご遠慮ください。

2ch発言小町はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い (アスキー新書)