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GnuCashのヘルプ「決算」の訳/決算整理と確定申告と期首整理

GnuCashのヘルプの日本語訳がないので、「決算」のページだけ翻訳してみます。

簡単な期末&期首処理を訳の後ろで解説します(減価償却とかの処理はないものと仮定)。

昨年から個人事業主になり、GnuCashで記帳し、先日の確定申告もe-taxでヌルヌルと終わらせましたが、GnuCashは市販のソフトのようにウィザード形式で個人事業主の決算処理を自動的にやってくれるわけではないので(といっても市販のソフトは使ったことがないのですが)、どうやって決算するのかな―、仕訳とかは頭の中でできるけどソフト上でどう挙動するのかなーと不思議に思っていたので、念の為にヘルプを眺めていました。

結論から言うと、超簡単です。

「ツール」>「決算」で損益を振り替える科目を指定すると前期の損益勘定がゼロになります。

あとは期首処理をするだけになります。なので、損益勘定をリセットする前段階までの、すべての仕訳が終わっていなければなりません。つまり確定申告ができている状態であれば、あとはクリックひとつで「決算」は終了です。

なお、勘定科目名は、TKC互換個人事業主用GnuCash勘定科目ファイルを使用していることとします。

(免責事項:ぼくの手入力でつくった勘定科目表です。これを使用したことによって生じたいかなる損害に対する責任も負わないこととします)


決算

決算ダイアログボックスは「決算」――収益勘定と費用勘定の差額をリセットする会計手続き――のために使われます。この手続きにおいて、収益勘定残高は収益資本勘定(income equity account)〔「当期利益(損失)」のような純資産勘定〕に振り替えられ、一方、費用勘定残高は費用資本勘定(expense equity account)に振り替えられます。その両方の勘定を指定しなければなりません。それらは同じ勘定かもしれません。また、決算振り替えの日付けも指定しなければなりません。

ダイアログボックス詳細

ダイアログボックスには次のパートがあります:

  • 決算日:決算日の日付けを特定します。日付けをタイプするか、ドロップダウンから選択します。
  • 収益合計:すべての収益勘定の総合計が振り替えられる勘定科目を指定します。あるいは、「新規」ボタンを使って振り替えを受け取る新しい勘定科目をつくることもできます。
  • 費用合計:すべての費用勘定の総合計が振り返られる勘定科目を指定します。ここでもまた、「新規」ボタンを使って振り替えを受け取る新しい勘定科目をつくることもできます。
  • 説明:決算仕訳に入れられる説明を記述します。

どのように機能するか

GnuCashは、収益勘定のため、ひとつの通貨につきひとつの振り替えをつくることで決算し、また費用勘定のため、ひとつの通貨につきひとつの振り替えをつくることで決算します。振り替えはすべて、ユーザによって選択された日付けを用い、それぞれの振り替えはスプリットをいくつでも含むことができます。それぞれのスプリットはひとつの収益または費用勘定から生じる差額を移動します。それぞれの決算振り替えにおける最後のスプリットは、貸借残高を相殺した総合計高を、指定された純資産勘定〔「当期利益(損失)」〕に移動します。

それぞれの振り替えは、ユーザが「説明:」フィールドに記入した説明を使用します。

GnuCashは決算処理を行うために振り替えを行うだけだという事実は、決算処理をやり直すのを非常に簡単にします:ただ決算振替を削除するだけです。

何をしないか

この決算ツールは、どの勘定科目も、どの振り替えも削除しませんし、新しいファイルを作ることも、なんらかの勘定科目を隠すこともしません。

必要性

GnuCashで決算することは必須ではないということに注意して下さい。期末ごとに収益勘定と費用勘定を消去する必要はありません。GnuCashのビルトインレポートは自動的に、ふたつの異なる会計期間の間で留保された収益(retained earnings)のような概念を処理します。

じっさい、決算を行うことは、標準報告書の実用性を損ねます。なぜなら、報告書は目下のところ、決算振替を把握しないからです。この観点から言って、所定の期間の勘定における正味の収益や費用は、たんにゼロである、ように見えるというだけです。

結論

決算するときには、標準報告書における誤りを確かめるように下準備してください。他方で、勘定科目表における現在の会計期間の損益の数字を確認することになるでしょう。


(会計用語の定訳がよくわからなかったので、直訳調になりました。変な所があればご教示いただければ幸いです)

読むだけ無駄だった、という感じのヘルプですが、「ツール」>「決算」でダイアログボックスが開き、損益をまとめる勘定を指定し、「OK」ボタンを押せば終わるよ、ということです。

実際その通りでした。

決算する前に、現金勘定などを眺めて、間違いがないか確認します(現金がマイナスになる瞬間があってはならないので)。

「編集」>「オプション」で会計期間を前期に設定します。「貸借対照表」と「損益計算書(P/L)」を出力して、確認します。確定申告はこの時点でできてしまいます。

「ツール」>「決算」でダイアログボックスを出します。

GnuCash Close Book

ダイアログボックスの「決算日」は、個人事業主であれば前年の12月31日に指定します。

「収益合計」の右にあるトグルボタンで「当期利益(損失)」を選択します。

「費用合計」の右にあるトグルボタンで「当期利益(損失)」を選択します。

「説明」には「2013(平成25)年度決算整理」とかなんとか、わかるように書きます。

「OK」をクリックで、収益勘定科目・費用勘定科目がゼロになり、「当期利益(損失)」勘定にすべて振り替えられたのがわかります。

GnuCashは帳簿ファイルを自動的に保存してくれます。翌期もこのファイルをそのまま使えます。

前期末残高:

借方 貸方
事業主貸  100,000 事業主借   80,000
費用    990,000 収益   1,980,000
元入金   100,000

決算整理:

借方 貸方
収益   1,980,000 費用    990,000
当期利益  990,000

期首整理:

借方 貸方
事業主借   80,000 事業主貸  100,000
当期利益  990,000 元入金   970,000

前期の元入金は100,000でしたが、「事業主貸」「事業主借」「(前期の)当期利益」を相殺した残額が970,000がプラスされ、残高としては1,070,000になりました。これが今期の元入金になります。

  • 元入金は期首と期末で同じ額、資本金と異なりマイナスになってもかまわない。
  • 事業主貸と事業主借は期首にゼロになる。

あたりをおさえておけば、フリーのソフトウェアGnuCashで確定申告も十分です。