汽車を待つふりして春を待っていた無人の駅で君とふたりで(冨樫由美子)
※「うたの日」に書いた選評をサルベージしてみます。ブラウザにベタ書きしていたので。初出になかった改行を加えたり、誤字を訂正したりはしています。
汽車を待つふりして春を待っていた無人の駅で君とふたりで
/冨樫由美子
汽車も春も、待つ対象という意味では、等価なのだという単純な事実を、短歌的な飛躍を使って知らしめられる、というワンダーな感覚がたまらない一首でした。それと、「待っていた」と過去のこととして語られていることが、この歌のノスタルジックな気分をより一層高めていると思いました。