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やわらかにひかりの満ちる精神科病棟に夏 蝉は鳴かない(長月優)

f:id:hidex7777:20180102153745j:plain ※「うたの日」に書いた選評をサルベージしてみます。ブラウザにベタ書きしていたので。初出になかった改行を加えたり、誤字を訂正したりはしています。

やわらかにひかりの満ちる精神科病棟に夏 蝉は鳴かない
/長月優

この歌の「くびれ」(穂村弘いうところの。脅威=ワンダーの感覚をもたらすポイント)はやはり結句「蝉は鳴かない」にあって、えーなんでそこだけ鳴いてないのとか、時間はちゃんと進行してるのとか、意図的に音声オフにしてるのとか、いろんなドギマギした思いが溢れてくる。「やわらかにひかりの」とひらがなで柔らかく開始されているところも巧みだと思う。静寂が、神々しい。

(2017年9月26日『神』)