※「うたの日」に書いた選評をサルベージしてみます。ブラウザにベタ書きしていたので。初出になかった改行を加えたり、誤字を訂正したりはしています。
ここで鱗を取りますという君がきちんと悲しそうでよかった
/多田なの
平然と言ってもよさそうなのに、律儀に悲しそうになる「君」。「たぶんこの人は鱗を取る場合に悲しい気持ちになるんだろうな」という予想というか期待というか、キャラクターの安定性への信頼が、視線にこもっている。この視線の持ち主と「君」にしか分からない関係性であるはずなのに、第三者の読者にも分かってしまうところがいいと思いました。
(2017年9月9日『鱗』)