うたの日サルベージ:牛乳のパックで作った子兎を通学途中に一羽逃がした(多田なの)
※「うたの日」に書いた選評をサルベージしてみます。ブラウザにベタ書きしていたので。初出になかった改行を加えたり、誤字を訂正したりはしています。
牛乳のパックで作った子兎を通学途中に一羽逃がした
/多田なの
子兎は、逃げてしまったのか、作中主体が能動的に逃したのか。たぶん、どちらでもあって、子兎の「逃げたい」という欲望は作中主体の能動性を通して実現したのであり、作中主体の「逃してあげたい」という欲望は受動的に「逃げられる」ことを体験することで実現した。また、作中主体の「逃げたい」欲望は、子兎が代理することで、うまく抑制されたのだと思う。