【短歌作品】ユリシーズ・プリズメン
※同人誌『We』第6号(2018年9月刊)に掲載した10首です。これを書いている現在(2019年8月末)時点で第8号が出ています。
- 白妙の袖ふりはふるみとりめのあぐるをのこの清げなるまら
- ダブリンの朝、腸詰めを買う女その二十日後に失恋をする
- 新聞にはさみを四度さしこんでレッド・マリーは記事をきりぬく
- 疵のないオレンジ包むうすい紙 ヤッファ埠頭の陽射しが重い
- 片脚のない物乞いのない脚を見ているぼくの黄色いよだれ
- アブサンはみどりいろの血 海岸のマストはまぜる分厚い雲を
- 青い下着はいてきたのよ、ああ!花火!鐘の薫りにけむるこうもり
- 藍色のサージの紳士 ダブリンのおんなは鐘の裂け目を知った
- むらさきのガーターベルト 数本の男の人がまぜこぜになる
- 二つの瓶の上の卵を撃ち落とすそしてすべての船の難破へ
ユリシーズ 文庫版 全4巻完結セット (集英社文庫ヘリテージ)
posted with カエレバ