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うたの日サルベージ:冷たさをたぐれば灯る電球と人差し指のどちらかが過去(水没)

f:id:hidex7777:20180102153745j:plain ※「うたの日」に書いた選評をサルベージしてみます。ブラウザにベタ書きしていたので。初出になかった改行を加えたり、誤字を訂正したりはしています。

冷たさをたぐれば灯る電球と人差し指のどちらかが過去
/水没

暗闇の中で灯る電球と、そのスイッチをいれた人差し指、と読みました(あるいは「電球」そのものが象徴または隠喩なのかもしれません)。「たぐる」ものと言えば紐、と連想しますが、〈冷たさ〉という抽象的かつ身体感覚をともなった名詞で言い換えることで、〈どちらかが過去〉という飛躍(「灯る」いま、からみて「過去」にほんの少し取り残されているなにかがある、という感覚)に違和感なく(わかりにくさはありますが、そこは魅力的です)つながっていると感じました。

(2017年9月19日『過』)