うたの日サルベージ：美しい不眠だったね雪の日の乗らない始発を眺めにいった（多田なの）
※「うたの日」に書いた選評をサルベージしてみます。ブラウザにベタ書きしていたので。初出になかった改行を加えたり、誤字を訂正したりはしています。
美しい不眠だったね雪の日の乗らない始発を眺めにいった
／多田なの
過去形で語られるこの語りが、誰かに向けられているのか、過去の自分に向けられているのか、いずれにしても、「美しい」としか形容のしようのない記憶を、「不眠」の二文字に凝縮して愛することで、その愛が代替不可能なもので、言葉に翻訳することが不可能なものであることを、うまく表現していると思いました。素晴らしい。
